㈱日本リモナイト 栗谷利夫さんにインタビュー

熊本・阿蘇の大地に豊富な「リモナイト」というものをご存知だろうか。鉱物資源の一つで、吸着力や栄養成分に優れ、現在さまざまな研究開発が進められている。熊本でその“リモナイトの魅力”にいち早く着目し、研究開発に取り組んできたのが、株式会社日本リモナイト(本社・熊本県阿蘇市)である。今回は、同社の代表取締役社長を務める栗谷利夫さんに、鉱物資源としてのリモナイトの価値や今後の商品開発・海外展開などの展望、今の若者へのメッセージなどを率直に伺った。

熊本が誇る「鉱物資源」

――まず、「リモナイト」とはどういうものか教えてください。

リモナイトとは、阿蘇の大地にある、鉄分を多く含む堆積物(黄土)のことで、「褐鉄鉱(かってっこう)」とも呼ばれます。約30万年前から数回にわたり起こった阿蘇山の大噴火により、阿蘇に大きな火口湖ができ、そこにたくさんのミネラル分を含んだマグマや植物などの有機物が蓄積され、それが水中で分離分解される中で形成されたと言われています。

リモナイトは、吸着力がほかの物質の7倍から8倍も強いのが特徴で、その性質を生かしてさまざまな製品開発を行っています。また、鉄分が豊富に含まれているため、畜産用飼料やペットのためのサプリメントとして使われたりもします。

リモナイトはフランスやイタリア、カナダなどでも産出されますが、阿蘇ほど良質のリモナイトが採れるところはありません。これは世界一のカルデラを持つ阿蘇の大自然が生んだ世界有数の鉱物資源だと思います。

――リモナイトでどのような商品を開発しているのですか?

まず、吸着力の強さを生かした脱硫化水素剤「リモニック」があります。硫化水素ガスは人体に対して健康障害を引き起こす有害な気体で、それを除去するために、この脱硫化水素剤が非常に力を発揮します。これは今も日々研究を重ねており、ガスを吸着したときに発生する廃棄物を再び原料にするという仕組みも構築し、すでに特許取得もしています。

次に、リモナイトを使った豚の畜産用飼料「ライトミネラル」というものがあります。通常、豚は13頭ぐらいの子どもを産みますが、そのうち3、4頭は死ぬと言われています。もし10頭の豚がいれば、130から140頭ほどが生まれ、そのうち30から40頭は死ぬということです。しかし、これが、ライトミネラルを食べさせると、140頭のうち、2、3頭ほどしか死なず、豚の飼料としてとても効果があることがわかっています。

また、ペット用のおやつ(サプリメント)も開発しました。獣医学で世界一と言われる米・コーネル大に研究を委託し、リモナイトが動物の体によく、糞尿の臭いも消えるなどの効果があるというデータが出たので、熊本のある会社と協力して商品化しました。現在、動物病院に行くと、リモナイトの犬・猫用の飼料がとても人気があります。

さらに最近では、リモナイトが放射線の線量を低減する効果もあることが実証され、大変注目を受けています。リモナイトを放射線物質で汚染された土壌に散布すると、放射線量が大幅に減り、汚染を抑える効果があるのです。

これ以外にも、さまざまな商品化を行いながら、リモナイトの可能性に挑戦しているところです。

――最初にリモナイトに出会ったのは?

今から20年ほど前でした。私はもともと会計事務所のコンサルティングをやっているのですが、当時、日本リモナイトの経営状況を聞いたときに、この事業はいずれパンクしてしまうだろう、と思いました。

しかし、リモナイトの話を聞き、3万坪にわたる広大な黄土の土地を見たときに、ちょうど日差しが当たって大地が黄金に輝くのを目にしました。私はそれを見て、直感的に「よし!」と思いました。

当時、日本リモナイトには借金もありましたが、20年あれば返せると思い、現在までかかわってきました。そうして、今ようやく事業が軌道に乗ってきたというところです。

――今後の展望について聞かせてください。

これからは、リモナイトを人間用に商品化したいと思っています。現在すでにサプリメントを販売しており、楽天市場などでランキングトップに入るほどの人気商品になっています。このサプリメントは臨床試験により、就寝前や空腹時に飲んだら効果があることがわかっており、100パーセント天然なので、胃を痛めたりする心配もありません。

購入したお客様からはお礼の手紙もたくさん来ており、とてもうれしく思っています。また、マッサージ用のオイルや石けんなどにも応用できると考えており、今後さらに開発を進めたいと思っています。

海外展開では、タイや中国とも契約の話が進んでおり、生産体制の整備を急いでいます。リモナイトは乾燥させたり、2年間寝かせたりする工程があるので、今から計画して設備投資などを進めていくつもりです。

リモナイトは阿蘇の大自然が生んだ最高峰の鉱物資源です。資源の中で高価なものに「金」がありますが、金と比較した場合、リモナイトと同じ体積の石から採れる金の価格よりも、リモナイト1個の価格が高いのです。なぜなら、金は石からほんの一部しか採れませんが、リモナイトはほぼすべてを資源として使うことができるからです。

熊本の宝であるリモナイトが、今後、熊本に豊かさをもたらしてくれるものと信じています。

――これから未来を担う学生や若者に一言メッセージをお願いします。

今からは「英語」を話せないと、国際化時代では勝負ができないと感じます。しかし、英語もですが、大学での成績がよかったからといって社会に通用するとは限りません。

それ以上に、もっと「実学」を学べる環境を充実させていく必要があると思います。熊本では「マチナカレッジ」など、学生たちが実学を学ぶ環境がつくられてきています。そうした場を大いに活用してほしいと思っています。

――どうもありがとうございました。


リモナイト(左から2番目)とその商品たち

【財(たから)なキーワード】
「金は石からほんの一部しか採れませんが、リモナイトはほぼすべてを資源として使うことができます。リモナイトは“熊本の宝”であり、今後、熊本に豊かさをもたらしてくれるものと信じています」

●プロフィール
【くりや・としお】1949年、熊本市生まれ。近経ファーム代表・CEO。㈱日本リモナイトは近経ファームのグループ企業の一つ。中学3年から5年間、仏門修行に入る。僧名・厚盛(こうじょう)。81年、㈱近代経営研究所設立。一般財団法人熊本学校・理事長、NPO法人スリランカ復興支援会議理事長なども務める。

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