『血管の分化』一部を解明

%e8%a1%80%e7%ae%a1%e5%88%86%e5%8c%96%e8%aa%ac%e6%98%8e%e5%9b%b3%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%88%e7%94%a8熊本大生物資源研究支援センターの南隆教授らの研究グループは、京都大iSP細胞研究所などと共同研究を行った結果、幹細胞が血管に分化する際の刺激に応じて、遺伝子の転写の状態を変化させる「ヒストンコード」が経時的に変化していること(=図は同大ホームページより)を明らかにし、3月17日「ヌクリック・アシッド・リサーチ」に掲載された。

今回の研究は、京都大iSP細胞研究所の山下十教授の開発したES細胞が内皮細胞に分化する細胞について、内皮細胞増殖因子(VEGF)刺激直後、分化前、分化途中、分化決定後のRNAとヒストンを収集し、東京大先端科学技術研究センターの次世代高速シーケンサーですべてのゲノムとエピゲノムの変化を解析した。

この結果、血管内皮への分化を決定づけるタンパク「ETV2」は、内皮細胞増殖因子を加えてから6時間以内に働きが現れた。さらに時間が経つと、ETV2から内皮分化を誘導するタンパクが現れ、血管内皮に特徴的な核タンパクや膜タンパクを誘導していることがわかった。最終的に内皮分化が決定される48時間に、内皮分化に特有の遺伝子が例外なくすべて働くよう誘導される転写のシステムが成り立っていることを明らかにしたという。

さらに、遺伝子の転写状態を変化させる「ヒストンコード」を時間ごとに調べた結果、内皮分化に必須な転写因子のゲノム領域は、内皮への分化の過程で転写を抑える「ブレーキヒストンマーク」から転写を活性化する「アクセルヒストンマーク」に段階的にスイッチする現象も発見した。

これらは、効率よく血管を再生する技術に応用できる成果として期待される。