「新しい理論式」導く

熊本大大学院先導機構の米本幸弘助教と京都大の功刀資彰教授の研究グループは5月25日、平らな固体物質の表面上に衝突した液滴の濡れ広がり面積を定量的に予測する理論式を導き出すことに成功した。(=図は同大ホームページより)

固体表面への液滴の衝突は、工業分野で数多く見られる現象であり、衝突後の液滴の最大濡れ広がり面積は、製品の品質や装置の効率を左右するパラメーターとされる。液滴の性質やぶつかる速度、固体の素材によって濡れ広がり面積は異なる。この「濡れ性」と呼ばれる液体の付着しやすさは、接触線での水平方向の力学的バランス式「ヤングの式」で計算することができる。しかし、衝突速度が遅い場合は、最大濡れ広がり面積の誤差が大きい反面、速度が遅い場合を予測する式では、速度が上がると誤差が生じる課題があった。

米本助教と功刀教授らは、接触線での垂直方向の表面張力に着目し、固体表面上に衝突する液滴のエネルギーバランスを検討。衝突時に液滴内部で運動エネルギーが熱エネルギーに変換して消失してしまう点を加味し、従来の計算式の欠点を見直すことで新しい理論式を導き出した。

この理論式で、シリコンゴムや超撥水基板など多様な固体基板と液滴間の衝突に関する最大濡れ広がり面積を定量的に予測できた。さらに、同理論式は「1000分の1ミリ」の液滴にも応用できることが確認できたという。