急性心筋梗塞に「治療薬」

%e8%ab%96%e6%96%87%e6%8e%b2%e8%bc%89%e7%94%bb%e9%9d%a2%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%88%e7%94%a8熊本大大学院生命科学研究部の海北幸一准教授らの研究グループは8月28日、慢性心不全の治療薬として海外で用いられる「LCZ696」が急性心筋梗塞後の『心破裂』と『心不全』を防ぐ働きがあることを明らかにした。これは、国立循環器病研究センターの小川久雄理事長らと共同で行った研究成果。同日、科学雑誌「JACC: Basic to Translational Science」の電子版(=写真)に掲載された。

LCZ696は、降圧薬「バルサルタン」と臓器保護作用を示す「サクビトリル」を組み合わせた新薬。欧米では慢性心不全の治療薬として使用され、心不全や心臓死による入院を少なくすることが臨床試験で証明されている。ただし、慢性心不全の原因となる急性心筋梗塞の急性期の治療に有効かどうかは明らかになっていなかった。

研究グループは、野生型マウスから心筋梗塞を作製し、LCZ696の効果を調べた。その結果、何も投与しないコントロール群やACE阻害剤投与群に比べてLCZ696投与群は、1週間以内に心破裂で死亡する確率が低いことがわかった。

さらに、同研究グループは、心筋梗塞部の遺伝子発現を調べたところ、LCZ696投与群では、炎症に関わるサイトカインや組織の分解に関わる遺伝子の働きが低下していることが明らかになったという。

研究の結果、新薬LCZ696は心筋梗塞後の急性期に心臓の〝保護効果〟を持ち、心破裂を抑える働きがあることが証明された。今後は、急性心筋梗塞後の治療に応用されることが期待される。