「黄砂」 心筋梗塞の発症に影響

%e5%bf%83%e7%ad%8b%e6%a2%97%e5%a1%9e%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%82%af%e3%81%ae%e3%82%aa%e3%83%83%e3%82%ba%e6%af%94%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%88%e7%94%a8熊本大の小島淳准教授らの研究グループは8月29日、急性心筋梗塞登録事業のデータを用いて環境疫学研究を行った結果、「黄砂」が心筋梗塞の発症と関連していることを世界で初めて明らかにした。この急性心筋梗塞登録事業は、同大が熊本県内の医療機関と協力し、熊本県と取り組むもの。黄砂が比較的多く観測される熊本県内で発症した急性心筋梗塞について3713人のデータを調べたという。その結果、黄砂が観測された後に急性心筋梗塞患者が増えていることがわかった。(=図は背景要因ごとの関連性、同大の報道資料より)

アジア大陸の砂漠で発生した黄砂が季節風によって日本に運ばれる場合、大気汚染物質が付着してできる「黄砂曝露」の影響で呼吸器疾患やアレルギー疾患が国内で増えていることが指摘されていた。研究グループは、循環器疾患の中で急性心筋梗塞に着目。熊本急性冠症候群研究会のデータベースを使い、黄砂との関係を解析した。熊本気象台が2010年4月から2015年3月の期間に黄砂を観測した41日について調べたという。

この期間中に発症日時がわかる急逝心筋梗塞患者は4509人。県外在住や入院などの患者を除いた3713人を対象に「黄砂曝露」との関連解析を行った。黄砂が観測された翌日に急性心筋梗塞を発症する「オッズ比」を算出した値は1.46になり、患者が増えることがわかった。

さらに、患者の年齢や性別、高血圧や糖尿病、喫煙などの背景要因ごとに関連性を調べたところ、75歳以上の高齢者、男性、高血圧、糖尿病、非喫煙者、慢性腎臓病の場合、黄砂と急性心筋梗塞発症に関連性があることもわかったという。特に、腎臓病が、黄砂の影響で発症しやすくなるとする結果を証明したのは、世界初。今後は、黄砂の影響を受けやすい背景要因についての研究を進め、黄砂による健康影響の予防につなげたい考え。