『イノベーティブな大学』アジア37位

学術論文や特許出願などの指標によってロイターとクラリベイト・アナリティクスが作成した「アジアで最もイノベーティブな大学」トップ75が6月12日、発表された。熊本大(=写真は同大事務局)はアジア37位(国内12位)と順位を上げた。トップは韓国科学技術院(KAIST)、2位はソウル大、3位は東京大。国別で見ると、韓国が22大学、中国が20大学、日本が19大学がランクインした。

前回アジアで40位、国内で15位だった熊本大は、それぞれ順位を上げる結果となった。トップ75に選出された日本の19大学の中で、順位を上げたのは九州大と熊本大の2大学。熊本大は、産学連携や知財管理を専門とするコーディネーター6人を配置。企業から求められる研究や特許の出願に柔軟に対応できる環境を整えた結果、受託研究や特許出願数が大幅に増加し、企業との共同研究も増えたことが評価されたとみられる。

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「新しい理論式」導く

熊本大大学院先導機構の米本幸弘助教と京都大の功刀資彰教授の研究グループは5月25日、平らな固体物質の表面上に衝突した液滴の濡れ広がり面積を定量的に予測する理論式を導き出すことに成功した。(=図は同大ホームページより)

固体表面への液滴の衝突は、工業分野で数多く見られる現象であり、衝突後の液滴の最大濡れ広がり面積は、製品の品質や装置の効率を左右するパラメーターとされる。液滴の性質やぶつかる速度、固体の素材によって濡れ広がり面積は異なる。この「濡れ性」と呼ばれる液体の付着しやすさは、接触線での水平方向の力学的バランス式「ヤングの式」で計算することができる。しかし、衝突速度が遅い場合は、最大濡れ広がり面積の誤差が大きい反面、速度が遅い場合を予測する式では、速度が上がると誤差が生じる課題があった。
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悪性リンパ腫の原因遺伝子を特定

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同研究グループは、原発性滲出性リンパ腫で転写因子PU.1の働きが抑制されていて、その原因としてPU.1の働きを調整するDNAの領域がメチル化されていることを世界で初めて明らかにした。

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“不要なタンパク質” 分解

熊本大発生医学研究所の小椋光教授らの研究グループは5月5日、誤った構造になった不良品タンパク質を分解するメカニズムを明らかにした。研究グループによると「ERdj5」と呼ばれる酵素が不良品タンパク質の結合を切断し、分解を促進する役割を果たしていることがわかった。(=図は同大ホームページより)

パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患は、体内で不良品タンパク質が過剰に蓄積することで引き起こされることが知られており、分子構造レベルでこうした神経変性疾患の原因解明につながる成果として注目が集まっている。

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『血管の分化』一部を解明

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今回の研究は、京都大iSP細胞研究所の山下十教授の開発したES細胞が内皮細胞に分化する細胞について、内皮細胞増殖因子(VEGF)刺激直後、分化前、分化途中、分化決定後のRNAとヒストンを収集し、東京大先端科学技術研究センターの次世代高速シーケンサーですべてのゲノムとエピゲノムの変化を解析した。

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「卒業展」と「同窓会展」

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卒業制作展は同科が毎年開催しているもので、3月4日には、論文発表会も行われた。学部の部では、岩田美月さんと川上雅子さんが発表。修士の部では、村井弘夢さんと西岡功喜産が論文の発表を行った。同窓会展との同時開催は初めてで、多くの卒業生も来場し、交流を深めていた。

”老化を防ぐ酵素” 発見

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研究を行ったのは、熊本大発生医学研究所で細胞医学分野の中尾教授と同大大学院医学教育部博士課程を修了した田中博研究員。2人は、網羅的な遺伝子解析を行うことによって、細胞の老化を制御する酵素とそのしくみを初めて解明した。この研究グループは、SETD8が減少すると細胞内の核小体とミトコンドリアに関わる遺伝子の働きが活発化し、タンパク質合成とエネルギー産生が増加することを突き止めた。一連の細胞老化に関するメカニズムを解明したことで、老化の制御法が開発されることが期待される。

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